初心に返ろう、シーティング
~利用者が安楽な姿勢で過ごせるように~
[北館3 階 | 援助員 池松 翔、行 昭洋、古井 敦子]
特別養護老人ホーム「甲寿園」。他の法人に先駆けて、兵庫県内に2 箇所目の特別養護老人ホームを昭和45年4月1 日に設立。3 階建でロングは168 床、ショートは14 床の施設です。「抜群の利便性と西宮の自然が共存するホーム」で散歩や日光浴、軽いスポーツに最適な甲山森林公園はすぐ近く。また夙川や阪急甲陽園駅へも気軽に足をのばせます。四季折々に美しい甲山の自然。椿、こぶし、桜、つつじ、藤の花…。春はお花見、初夏は新緑散策、甲東園の梅林散策など、豊かな自然環境を活かした健康的な時間を過ごされています。
日々の介護の中で、利用者が車いすに乗って過ごす時間が必ずあり、日常生活において、身体の一部として車いすを利用されています。
利用者の姿勢や身体にかかる負担などを考えた移乗、ポジショニングなどが出来ているとは言い難い状態になって
います。ケガなく乗せればいい、仕事の忙しさのあまり一手間を省いてしまう、もしくは安楽な姿勢に戻す方法を知ら
ない、という職員もおられるのではないでしょうか。
このような現状を改善するため、今回の事例研究で「車いす上でのポジショニング」を取り上げ、座位保持がいかに大
切かを改めて考え、職員の日々の意識の向上、安楽な姿勢とは何か? をリハビリテーション職員と連携しフロアでシー
ティングについて学び直しました。
甲寿園北館3 階 ……
職員数18 名( 正社員10 名、嘱託職員4 名、パート職員4 名)
利用者39 名( 介護度3.16)
車いす使用の利用者23 名
チルト式リクライニング車いす5 名
移乗介助の必要な利用者
全介助15 名、一部介助13 名
フロアの職員がシーティングに関してどこまで理解しているか、普段の仕事中に何を注意しているかを把握す
る為にフロア全職員に対してアンケートを実施しました。
アンケートの内容
①車いすへの移乗の際、何に気をつけていますか。
②車いすに座っている利用者に対して気をつけている事はありますか。
に対して自由に記入してもらいました。
①の答えとして多かった内容は
- ブレーキをかける
- 利用者の剥離、打撲がないように気をつける
- ずれ落ちないように深く座って頂く。
- 常に声かけをする
など
②の答えとして多かった内容は
- 深く座れていない事で、前にずり落ちてしまわないようにする
- ブレーキがかかっているか
- 体勢が崩れていないかどうか
- ご本人に合った車いすを利用されているか
などと、なりました。
このアンケート結果から、介助側の視点ばかりで、利用者の安楽な姿勢についての具体的な回答はあまり見られなかった。このことから、リハビリテーション職員の協力の下、「シーティングの基礎」、「姿勢の大切さ」、「姿勢の具体的なポイント」を何回かのフロア内研修を行い「座位保持のやり方」、「車いす上での姿勢体験」、「座位が崩れた時の直し方」を学びました。またフロア全職員に冊子で「車いすの基礎知識」、「車いすシーティングの基礎知識」、「車いす専用クッションの選定・適合に関する問題点」を見てもらい、シーティングに関する知識を
学んでもらいました。
■はじめに
利用者の姿勢や身体にかかる負担などを考えた移乗、シーティングができているとは言い難い状態これらを改善するため、座位保持がいかに大切かを改めて考え、職員の意識の向上のため、安楽な姿勢とは何かを学び直すことにした。
■取り組み
1) フロア職員にアンケートを実施
2) シーティングの研修
■移乗後、姿勢を整えていない状態
■身体を起こし、後ろから臀部を引き深く座り直す
■骨盤の位置を確認
・左右 ・前後 ・高さ
■それでも左に傾いてしまう
■リハビリテーション職員の協力
■姿勢を整える前後の比較
■平成25 年9 月
■平成25 年11 月
■姿勢をみるポイント
・骨盤が傾いていないか・肩が傾いていないか・腕の位置
・膝裏と座面の距離・膝の高さ など
■結果、考察、今後の課題
- 研修により、知識・技術を知ることができた。
- 職員全員の技術の向上が課題。
- 利用者個人に合った車椅子の種類も必要。
取り組み後、利用者の座位姿勢や姿勢の変化に気づく職員が増えてきた。
今後シーティングだけでなく、利用者がもっと快適に生活して頂けるように、介護技術また知識の向上をして
いきたい。