生活していくうえで加齢や各種(かくしゅ)疾病(しっぺい)を因(いん)とした食事摂取量や自力摂取力・嚥下の低下等、日々刻々と利用者様の状態は変化している。様々な要因で低下した機能のうち、何かを変えることで少しでも低下を食い止める、もしくは機能の向上を目指せるものはないかと考え、1人の利用者様に焦点を当て「少しでも自分で食事をしてもらいたい」というご家族の意向の下、「自力摂取に向けて」の取り組みを行った。
業務を見直し毎週水曜日の午後から45分程度の担当職員を決めてレクリエーションを行うことにした。
①長時間の離床について本人にとって一番安楽な離床時間・座位の見極め
②昼夜逆転について昼夜の生活状況で見直し
③下顎(かがく)可動域(かどういき)の限界
④食事形態見直しに至った際に低下していた自力摂取力を持ち返せるか?
①もとより長時間の離床は厳しく、食事直前・行事直前の離床となっていた。研究調査中も座り直しや時間調整を行うが、やはり長時間の離床は厳しく取組の直前離床が妥当と思われる状況である。
②夜間、眠りが浅く不眠傾向。行事等への参加を促したり直前離床の時間を体調に合わせて前後させることで日中の覚醒時間を確保し夜間入眠を促すよう試み。けれども、車椅子への移乗後も、車椅子上で眠られ覚醒時間の確保に至らず。
③入所時より開口範囲狭く、食事・車椅子上の座位等の疲れからさらに開口維持低下みられる。
開口時、右(みぎ)顎(がく)関節部(かんせつぶ)の痛みの訴えあり、必要以上の開口も難しい。
④本人の食思と別に腕力の低下も見られスプーンが口元まで届きにくいが見守りの元しっかり覚醒している状態であれば、自力での数口程度ではあるが経口摂取が可能。
自力摂取の持ち返しについては厳しい状態であるが、継続した取り組みによって体調等によって左右されるものの微力ながら現状維持が望めるのではないかと考える。しかし、ADLの低下等から最低限の摂取量維持を考える場合、介助による摂取への切り替えを考える状況でもある。栄養状態の低下を招くリスクを考えると介助での栄養状態の維持も考える必要が有るからである。今回の取り組みをきっかけとして経口摂取を維持できるよう嚥下状態等に留意しながら利用者様一人一人の食生活を援助し支える難しさを痛感したが、「何かを変える」ことで利用者の持っておられる機能をあきらめない取り組みを今後も行っていきたい。