平成24年3月入退院を繰り返し、家族より園での生活を希望された利用者の突然の死によって、「こんなに悪かったなんて・・・」という発言あり。
看取りの在り方を考えさせられ、どのように対応すれば家族にとって悔いの残りにくい安らかな看取りが出来るかを考えた・・・・
平成24年4月 合同カンファレンスを導入
合同カンファレンスを行う時期の目安
朝倉は、「看取る側の家族が死を受け止めていく過程としては、死を前にした時や見送った後に理性的理解・感情的理解・行動的理解としての受け止め方をすることが多い」と言っている。
理性的理解・感情的理解・行動的理解とは・・・
「理性的理解」科学的、論理的に脳記憶がなくなったことの理解
「感情的理解」その存在が失われる、喪失感からくる苦しみであったり、こころにぽっかり穴があいたような感情であったり、それらの感情としてわきあがってきた感情としての理解したこと、またその反応。
「行動的理解」長年行ってきた生活習慣(永久記憶) を変化させることができた時。
事例検討を進めるうちに・・・
家族の理性的理解・感情的理解・行動的理解が出来ているかを評価する事で、家族が死=看取りを受け入れているか評価出来るのではないかと考えた。
平成24年4月~平成26年4月現在まで
3南フロア(52床)では17名の利用者を看取った。
そのうち2名の利用者の看取りを通して甲寿園の看取りの現状と課題を報告する。
事例(1)
S氏(81歳・男性)
●入所期間:H24 5/30 ~H25 10/4(1年5か月)
●既往歴 :H12 脱水症・誤嚥性肺炎・脳梗塞・認知症・胆石
●生活歴 :三重県伊勢で7人兄弟の第2子として出生。68才(H12)の時、自宅で意識不明で発見され入院。病院・有料老人ホーム行ったり来たりしたが、費用負担が大きく、甲寿園入所。
●家族背景:独身 兄弟3人生存
●キーパーソン:妹(八尾在住)面会1回/数か月
気管支肺炎再入所後、熱発・急変のリスク
4/8 第1回合同カンファレンス 必要時病院受診か急変時園での看取り
誤嚥性肺炎2回入退院繰り返す
6/4 第2回合同カンファレンス 妹「園での看取りを決断します」
S氏の状態が増悪
8/14 第3回合同カンファレンス(意向の確認) 妹意向に変化(感情的理解・行動的理解が困難)
S氏の状態が不安定
状態変化毎に情報提供・急変するリスク説明を繰り返す
S氏の現状を妹理解
妹看取りを希望(理性的理解・感情的理解・行動的理解が出来た)
9/21「お好み焼きたべたい!!」
9/30 妹介助で「おいしい・・・」
5日後永眠
事例(2)
T氏(74歳・男性)
●入所期間:H21 4/3 ~ H26 4/1(5年)
●既往歴 :H18 アルツハイマー型認知症・高血圧・左大腿骨頸部骨折
●生活歴 :中国上海で出生。日本に帰国後、営業職で勤務。66才(H18)より、認知症症状出現し、在宅での生活困難となり、介護保険施設や病院入院後、H21 4/3 甲寿園に入所。
●家族背景:妻、娘2人
●キーパーソン:妻( 西宮市在住)面会2~3 回/週
「延命治療しない・胃瘻造設しない・最後は家に連れて帰りたい!!」
6か月間状態安定 妻面会毎に情報提供
妻「私のわがままで皆さんにご迷惑を掛けていると思う」
妻の話を傾聴・気持ちに寄り添う
生活歴・家族背景・利用者・家族の意向・理解を把握する為には日々良好なコミュニケーションを通して利用者・家族と信頼関係を築くことが大切
家族・甲寿園の職員全員が関わり、寄り添って利用者の最期を支えるプロセス。そして・・・
以上の3つを加える事で、より安らかな最期が支えられる