社会福祉法人 甲山福祉センター 特別養護老人ホーム 甲寿園 Kabutoyama Fukushi Center | Kojyuen

実践研究発表 Presentation

バンザイ!!

日常レクリエーションの一環としての園芸

[援助員:和田 昂]

はじめに

ショートステイは在宅で介護を行っている家族のレスパイトケアや旅行、急な用事で留守にする際などに利用されています。しかし、全ての利用者の方が納得し、ご理解された上で利用されているわけではありません。利用の間、少しでも穏やかに、そして楽しく生活していただけるようにもっとできることはないかと考えてみました。そこで利用者の方に日々の楽しみや甲寿園に来るのが楽しみだと思ってもらえることを目的として、日常レクリエーションの一環として園芸に取り組んでみました。また、当フロアにはショートステイだけではなく、17名のロング利用者様もおられます。ショートの方、ロングの方に関係なく、毎日の生活に楽しみを持っていただけるような取り組みを実施できたらと思いました。

日常レクリエーションの一環としての園芸

■5月

ロング利用者の方と一緒に種と苗を園芸店に買出しに行く。

  • 購入品:プチトマト、キュウリ、なすび、ピーマン、ゴーヤ、西洋アサガオ、ひまわり

※買出しに参加された利用者様は、農業をされていた方と生家が農家であった二名。  どちらの方も園芸に興味を示しておられました。

購入した苗は他の利用者様も参加され、一緒にプランターに植えていただきました。プランターはベンチの上に置き、車椅子の方にも高さを合わせて、作業しやすくしました。そうすると軍手と麦わら帽子、スコップ姿で穴を掘り、苗をひっくり返してと上手に作業に取り組まれました。上記の二名以外の方も、あまりに手慣れた感じで上手に作業されるので、「上手ですね~昔、されていたんですか?」と声をかけると、そのお顔はやや誇らしげで「これくらい、できるわよ~」と笑顔で返され、普段になく会話も弾みました。

種まき、苗植えが終ると車椅子の方にも水やりがしやすい様にプランターや鉢をベンチからおろしました。植える時と水やりの時とは、プランターの位置及び鉢の高さを変える事によって車椅子の方にも立位のとれる方にも作業を行いやすいように考えました。

■6月

翌日からも苗に支え木や水遣りを行う等、意欲的に参加されています。真夏の炎天下の中でも日課の水やりだけは欠かさず、汗だくになりながらも参加され成長する姿をとても嬉しそうなお顔で見られていました。

■7月

トマトが色付き、なすびやきゅうりも大きくなり、熟れたトマトを利用者さんが「もう食べれるよね?!」っとパクッと口に運ぶ場面も!

■8月:咲き誇ったひまわりが見守る中、盆踊り大会開催

収穫したキュウリは料理が上手な職員のレシピを元に、管理栄養士、調理師が漬物に!
※収穫したキュウリだけでは足らない為、不足分は購入しています。

きゅうりのキューちゃんレシピ

1)
きゅうり1kg
5mm幅に切り、塩をふりしんなりさせる。

2)
醤油・・・180cc
酢 ・・・120cc
砂糖・・・大3~4
みりん・・・60cc
土生姜・・・1片(千切り)
鍋に入れ煮立たせる。

3)
2)に塩コンブ(細切り)・・・適量だしの素・・・適量
きゅうりを軽く絞り鍋に入れて醤油の色が付くまで煮る。

4)
汁をボールに受けながらザルに上げる。
きゅうりに、ゴマを適量振り入れる。

5)
きゅうりと汁の両方が冷めたら再び合わせタッパーに入れ
冷蔵庫で冷やすと出来上がり。
※冷蔵庫で1カ月保存可能。 

とても皆様おいしそうに召し上がられ、多めに作りましたがすぐに無くなってしまいました。

咲き終えたひまわりの種を採り、秋に向けてコスモスを植える。 今も継続して水やりを日課に楽しい日々を送られております。

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園芸の目的とその効果

1)適度な運動を伴う作業(運動不足の解消、筋力の低下の予防)
2)仲間との会話を促す共同作業(社会性の維持)
3)収穫の楽しみのある、将来を期待する作業(生きがい)
4)収穫物の利用(販売、料理、他)を伴う作業(生活能力の維持、自己評価)

主な参加者

■H様( 女性 介護度1 81歳 ロング利用者 )

園芸を見に行く事を毎日の日課とし、楽しみにされている。 昔、農業をされていた経験を活かし段取りよく水やり等をされていました。
⇒生活にメリハリがつき、充実した日々を過ごされる様になって来られています。

■T様( 女性 介護度3 70歳 ショート利用者 )

利用されている際は、ほぼ毎日見に行かれ、水やりや収穫を楽しんでおられます。 ご利用時の楽しみを見つけられ、利用を楽しみにされている様子です。
⇒利用時、退屈される事も少なくなり、生活リズムも出来てこられる様になりました。

■G様( 女性 介護度3 88歳 ショート利用者 )

他の利用者の方が園芸に行かれる際にお誘いすると笑顔で行かれています。 実がなっているのを見て大変喜ばれておられます。
⇒中庭へ行く事で適度な気分転換となり、歩行する事は下肢筋力低下の予防にもつながっています。

■T様(女性 介護度4 92歳 ショート利用者)

深窓の令嬢といった感じで、自宅では、外に出る機会などほとんどないように思われる方です。 園芸を始めてからは目深い帽子をかぶりながらですが、太陽の光を浴び、職員が話す、野菜の説明・花の説明をニコニコしながら聞いておられ、外に出る機会が増えました。

終わりに

ショートご利用時、目的や楽しみを持って来ていただき、滞在中も退屈な時間を過ごすより、楽しみを見つけていただこうと思い、取り組みの一つとして園芸を始めました。 今では水やりも習慣となり、野菜が実っていると喜んで収穫して来られます。そのお顔はどの方も生き生きして楽しそうにされておられます。何よりもロング利用者、ショート利用者問わずフロアに今までとは違った、園芸という共通の話題による会話や笑い声が聞こえるようになりました。これは少なからず園芸を手段として、利用者の方々に楽しみを持って生活して頂きたいという私たち職員の思いが形になってきているのだと思います。この形をこれからも継続し、さらに今後も園芸を通して、1人でも多くの利用者の方々に楽しんでいただけたらと思っています。そして、この形を園芸だけではなく様々な方面にも繋げていき利用者の方々に心から気分転換を図って頂き、楽しんで頂ける、そのような空間を提供していければなと思います。

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